「 令和句会 」
2019、11、9…京都教育文化センタ-
主催: いちご俳句会
参加者 20名
兼題 「 鉄 」
「 数字を織り込んだ俳句 」
選者: 岡田一実さん
生駒大裕さん
・『天』二人の選者による特選
・『地』一人の選者による特選且つ、もう一人の選者による並選
・『人』一人の選者による特選
『天』
一斉に資料繰る音冬ぬくし まめ
海舟も鉄舟も好きおでん酒 つよし
鳥渡る鉄鍛ふるに鉄の槌 祥雲
鉄骨に月光響く少年期 羽田野令
一本の芒をはいと渡さるる 山中広海
『地』
鉄人と呼ばれる小春日和かな 岡村知昭
(生駒さん→特選、岡田さん→並選)
十五夜を裏紙として利用する 久留島元
(生→特、岡→並)
鉄のところどころに冬の門 祥雲
(岡→特、生→並)
亀虫を八まで数え飽きている 久留島元
(生→特、岡→並)
砂鉄啜るかなしき鳥の冬日影 くらげを
(岡→特、生→並)
接吻の鉄の匂ひや天の川 まめ
(生→特、岡→並)
八朔や瓦で仕切らるる花壇 祥雲
(生→特、岡→並)
『人』
一匹の消えたるのちの鼬の夜 くらげを
(岡→特)
冷えて固まつてしまつた鉄の夢 林達男
(生→特)
百鳴のこゑ聞きしかば熟柿の木 くらげを
(岡→特)
万象に十一月の神均し つよし
(岡→特)
ニの鳥居霜夜の藍に浮かびたる 帆風
(生→特)
分かされの公孫樹一樹をふりかえる 羽田野令
(岡→特)
正坐して鉄腕アトム障子貼る 久々
(生→特)
〔参加者による互選〕
*印は選者の選
〈4点句〉
鳥渡る鉄鍛ふるに鉄の槌(*天) 祥雲
繋留の太き鉄鎖や雁渡る まめ
〈3点句〉
セロリ噛む鉄筋に囲まれながら 奈々
十五夜を裏紙として利用する(*地) 久留島元
正坐して鉄腕アトム障子貼る(*人) 久々
〈2点句〉
疑っておらぬ四人よ木の実降る 岡村知昭
なにっ元素わずか百かよ
おほぞらに傷鉄塔の枯野原 くらげを
埴輪にも鉄漿の跡蓼の花 山中広海
さすらつてきた鉄柵に赤蜻蛉 林達男
三・一四一五九二六…天高し 幸夫
鉄骨に月光響く少年期 (*天) 羽田野令
砂鉄啜るかなしき鳥の冬日影 (*地) くらげを
十月のへちまを布と思うなど 祥雲
鉄錆る流星よぎる
引出しをそつと閉めたる十三夜 山中広海
八朔や瓦で仕切らるる花壇(*地) 祥雲
〈1点句〉
地球背に鉄腕アトム月の空 久々
一斉に資料繰る音冬ぬくし(*天) まめ
冬晴や鉄条網の新工場 岡村知昭
一匹の消えたるのちの鼬の夜(*人) くらげを
土を蹴る鉄棒腹に秋夕焼 山中広海
一時間褒められたくて芒抜く 岡村知昭
良夜かな鉄筆の音すすむのみ 羽田野令
秋深し亡父が宿る鉄亜鈴 水澄子
三の糸瞬時に替へて冴ゆるかな まめ
接吻の鉄の匂ひや天の川(*地) まめ
冬の夜唇割れて鉄の味 帆風
〈無点句〉
四十雀囃すや今朝の柿の色 節子
鉄人と呼ばれる小春日和かな(*地) 岡村知昭
秋灯のすぎし一日を消せず 林達男
千本の素振り終へ一椀の蕎麦 水澄子
チョコ三つ夫婦バトルに小春空 帆風
心打つ鉄の団結ジャパン燃ゆ 守康
尻子玉ひとつ冬オリオン一つ 奈々
綿虫を鉄分を欲する指に 奈々
捨てられて鉄道模型秋の河 久留島元
冬旱鉄分不足指摘され 帆風
海舟も鉄舟も好きおでん酒(*天) つよし
涙ぐむ人一人立つ秋野かな 水澄子
冷えて固まつてしまつた鉄の夢(*人) 林達男
三角であること忘れゐるコート 奈々
鉄板で焼く肉魚秋の恋 水澄子
鉄のところどころに冬の門(*地) 祥雲
月面を鉄腕アトム一歩一歩 久々
百鳴のこゑ聞きしかば熟柿の木(*人) くらげを
亀虫を八まで数え飽きている(*地) 久留島元
霧深きロンドン鉄の女恋ふ 守康
万博や八百八橋もいらつしやい 守康
菊活けて祝ふ令和や六角堂 節子
神童のやうに抱かれ七五三 つよし
鉄板にタイヤとらるる秋時雨 節子
鉄分が足りない松虫轡虫 久留島元
八月十五日同じ色で新宿の朝 林 達男
一本の芒をはいと渡さるる(*天) 山中広海
吉野より名木千本嵐山 守康
一村を出でぬ
万象に十一月の神均し(*人) つよし
二の鳥居霜夜の藍に浮かびたる(*人) 帆風
分かされの公孫樹一樹をふりかえる(*人) 羽田野令
浄土にも鉄則あると鵙猛る つよし
包丁の鉄サビ落とす後の月 節子
(句会後にはサイン会も)
岡田一実さん、生駒大裕さん、句会の御指導をありがとうございました。
令和句会へご参加の皆様にも御礼を申し上げます。
今後のご健吟をお祈りします。またいつかお会いできますよう……。