第55回いちご俳句会(作品集)

武士(もののふ)の塚ものの芽の森の中 観月 そもそもの春を分かとうなんてこと 白石ポピー 歌ごえは囚われの白い木蓮 林達男 卒業の第二釦を箱にしまふ まめ sakuhinn 白い木蓮月が育てて花咲いた 林達男 きつとこれは架空の紫雲英なのだらう 白石ポピー 花…

第54回いちご俳句会(作品集)

寒明けの宙(そら)へ赤子の土踏まず 観月 春月光この世肩から辷り落つ 林達男 ガジガジと猫エリカの枝しごきおり 苔子 寂寞は夢を破った樹氷かな 白石ポピー 膨らんだ泡に映った顔を撃つ 白石ポピー 呑気者が黙って消える花見かな まめ 白梅の月にさらはれ…

第53回いちご俳句会(作品集)

万両はおそろしいです黒がくる 白石ポピー クレーンが片寄せ眺む暁天の紅 苔子 雪の音シーツの海をまさぐりぬ 林達男 産土の雪の便りは父の筆(ひつ) 観月 華奢な手を新春舞台で握手する まめ 初詣の客を吸込む牛丼屋 まめ 返り花返り花あと返り花 白石ポピ…

第52回いちご俳句会(作品集)

雪の日は花柄の傘さしませふ 観月 深海のテズルモズルの夢紅く 苔子 仏塔をひとつまみだけ入れた空 白石ポピー 真っ白な絵画の前のショートボブ 白石ポピー 落下する手袋の中ハワイアン 亀歩 やんわりとつむじに到来冬将軍 亀歩 外套を脱ぎ去りてゆく青い無…

第51回いちご俳句会(作品集)

かさついた足音と冬の鼻先 白石ポピー 饒舌な母に頷く冬帽子 まめ ひとつの元素に還りぬ冬の夜更け 林達男 針供養強制されるボランティア 亀歩 幸せと再会をした秋の雪 林達男 気温差に早足になる猫と往く 白石ポピー まっ黄っきおうおうおおおう虎麗(とら…

熱海句会 〜いちご俳句会50回記念句会〜

熱海句会 2023.10.14 ゲスト 町田康先生( 兼題『蓑虫』『とろろ』のご出題 ) ・頬髭にとろろ残して驕る木偶 野葛間 ・栗はじけ行き倒れたる骨の音 野葛間 ・あだし野や蓑虫縋る無縁仏 野葛間 ・忘却の膜はとろろのマチエール 白石ポピー ・蓑虫鳴く職歴のほ…

第49回いちご俳句会 (作品集)

上にある空がしびれてとりかぶと 白石ポピー 古道には水の匂いと曼珠沙華 観月 繰り返し鳴る約束や鰯挽く まめ 丹波から丹後へ風の花すすき 観月 柘榴裂けている七十の純情 林達男 山道のトカゲ狼狽ふ人声に まめ もしかして薄く曇った冬の朝 白石ポピー 誰…

第48回いちご俳句会 (作品集)

美しき弥勒の小指秋立ちぬ 観月 ビヤガーデンビールに雨粒ぽつぽつり 亀歩 耳元に唱ふ風死す風死すと 白石ポピー 小さき灯に演奏するやムーンリバー まめ 花魁の墓碑にとんぼの涙かな 観月 月の雨偉い人の約半分は水分なり 亀歩 夢抜けし緋鯉は鰭に頬を張る …

第47回いちご俳句会(作品集)

冷や麦や京に二つの本願寺 観月 ゴミ置き場羽根の破片と扇風機 亀歩 扇風機つばきのやうに首の落つ 白石ポピー 月に酔ひ白蛾は夜を投げ落とす 林達男 ふくよかに遺作の映画やサングラス まめ 古臭い恋をしてます糸蜻蛉 観月 花にうとき吾の酒しろし飯しろし …

第46回いちご俳句会(作品集)

ポタージュの膜をつついて桜桃忌 白石ポピー 常連を迎ふ何代目かの熱帯魚 まめ 白桃の竜の傍で眠ったの 林達男 光らなくなつた蛍は焚べませう 白石ポピー 次々とゴスロリ集う木下闇 亀歩 夏至なのに真面目な猫はつまんない 観月 脱皮して蛇は少女になりたが…

第45回いちご俳句会(作品集)

難破した心にかけるうすごろも 林達男 君の指薄暑の濃度掻き回す 白石ポピー 大和路の古寺に立夏の太柱 観月 繭を吐く音やたのしき五月闇 白石ポピー 夏来たる遠野に水の物語 観月 虎の尾を踏ませず入梅三角旗 亀歩 風操る人と旅する玫瑰の花 まめ イケメン…

第44回いちご俳句会(作品集)

木を離れ水の桜となりにけり 観月 しゃぼん玉大きな景色宙に浮き つよし 鳥交る妻はもも肉かぶりつく 亀歩 魚卵魚卵ユングは唄うさめざめと 白石ポピー 鳥帰る海の向こうの戦場へ 観月 メロディーは甘い楽欲(ぎょうよく)桃一木 林達男 月影に柘榴の花が咲…

第43回いちご俳句会 (作品集)

平仮名の「ぬ」字が書けぬ朧かな 観月 シャンソンの聞こえさうなる桜草 つよし 麗らかに個人情報刺繍せり 亀歩 後悔はしない主義です猫の恋 観月 フラスコを離さぬ日々や水温む 幸夫 亀鳴くや愛の女神のとけそうな 林達男 赤い牡丹悠々然と帯解きぬ 林達男 …

第42回いちご俳句会 例会(作品集)

檸檬色のスカーフ覗く春コート まめ 春の夜に指鉄砲で夫を撃つ 観月 早梅の陰に怯えて寺を焼く 白石ポピー 鳥獣の罪無き奇声園おぼろ つよし 春浅し配膳今朝はとさか髪 幸夫 大胆に寝そべる仔馬宿題は 幸夫 セロファンに水滴ゆがむ二月かな かわせみ 見慣れ…

第41回いちご俳句会 例会(作品集)

第41回いちご俳句会 例会(作品集) ピンヒール腓(こむら)が揺れて冬麗 亀歩(きっぽ) どことなくサンバのリズム笹もて来い つよし 辛抱の母大袈裟な父古日記 まめ 寒の水新札浮かすかと自問 幸夫 Nature calls me. 呪ひの外れてコール寒の真夜 幸夫 元旦や…

第40回いちご俳句会 例会(作品集)

第40回いちご俳句会 例会(作品集) 第40回いちご俳句会 例会(作品集) 尼様に素姓問はるる寒さかな つよし 死ぬ時は雪の生まれる匂いかな まめ 国境の光差しこむ紙ピアノ かわせみ 殺したき人一人いて大晦日 観月 焚火背に当て間の抜けたことを言い まめ 冬紅…

第39回いちご俳句会 例会( 作品集 )

第39回いちご俳句会 例会( 作品集 ) クリスマスらくだの影絵壁を行く かわせみ 念仏を唱えて坊主落葉掃く 洋子 逆立ちの宇宙飛行士冬日向 かわせみ 愚陀愚陀と白菜煮ゆる鍋の音 つよし 近寄らば地蔵にチャーハン撒くからな 白石ポピー 伸び伸びと老いは小春…

第38回いちご俳句会 例会(作品集)

第38回いちご俳句会 例会(作品集) 鳥渡る国境といふ地雷原 観月 茫々と茂る芒を泳ぐ鹿 白石ポピー 憎っくき奴月のあかりで殺そうか まめ 塵箱をあさる小犬の良夜かな まめ ああこれは夏が殺されたにおいだ 白石ポピー 菊の香の威風漂う天守閣 つよし 淀君…

第37回いちご俳句会 例会(作品集)

第37回いちご俳句会 例会(作品集) 盆栽の影を楽しむ月見かな 観月 桃一つ初めて剥けた老いの夜 幸夫 薄とは手を切るものと笑む花屋 幸夫 露の世の次の世うかと垣間見し つよし 吾も星も露の宇宙に生まれたる つよし ざすざすとぬけがら踏めば初嵐 白石ポピー…

第36回いちご俳句会 例会(作品集)

第36回いちご俳句会 例会(作品集) 空中に間合いを計る秋の蜂 まめ 月光の重さ感じる通夜の窓 観月 夕かなかな長い余白の終止符に 林達男 眠る母看取りの窓の遠花火 観月 森の奥の泉へ涙汲みに行く 林達男 酩酊の鎖骨に浮かぶゼラニウム 白石ポピー コロナ…

第35回いちご俳句会 例会(作品集)

第35回いちご俳句会 例会(作品集) 米蔵に冷たき夏のにほひかな つよし 夏銀河兵士は銃の傍で眠る 観月 朝顔の蔓まっすぐに死んでいる 林達男 背が伸びた御用聞き来る夏舘 まめ 夏の宵モジリアニの女に道を聞く 林達男 大百足バケツにうまく伏たれど 幸夫 …

第34回いちご俳句会 例会 (作品集)

第34回いちご俳句会 例会 (作品集) 猫の嗅ぐ曝書の廊に禁書あり まめ 舌先で夏を捜してさくらんぼ 白石ポピー 篁(たかむら)は五月雨の音風の音 観月 蛇衣を脱ぐ音地球の孤独 林達男 田植機の叶はぬ隅は下りて差し 幸夫 花菖蒲水の昏きに咲きにけり つよし 南…

第 33 回いちご俳句会・例会 (作品集)

第 33 回いちご俳句会・例会 (作品集) わずかなる下りが好み坂薄暑 幸夫 ホタルイカの煩悩をば噛みしむる 林達男 母の日に頼み事する手紙かな まめ 紫陽花は思案の色に午後の雨 つよし 蓮の葉に唯我独尊雨がえる 観月 入梅雨や座敷わらしの居る旅籠 観月 走…

第 32 回いちご俳句会・例会 (作品集)

第32回いちご俳句会・例会 (作品集) 一本は水子地蔵に風車 観月 若葉風極楽橋に人と逢ふ つよし レモンといふ字が書けない夏の淋しさ 林達男 次々と隣家の躑躅捥いで吸う まめ 春霖を祈る輪郭なくすよう 白石ポピー 句座の声弾みをりけるチューリップ つよ…

第 31 回いちご俳句会・例会 (作品集)

第31回いちご俳句会・例会 (作品集) 風光るオランダ坂の風見鶏 観月 若鮎や視野には乱舞する精子 幸夫 絞首刑執行人のボタンの色 白石ポピー 瘡蓋のきれいに剥がれ聖母祭 まめ 手を伸ばし富士に触れなん春炬燵 つよし みづいろの光の夢に蝶生るる 林達男 ナ…

第 30 回いちご俳句会・例会 (作品集)

第30回いちご俳句会・例会 (作品集) 一山を菩薩としたる春の雪 つよし 村の衆絵馬堂洗ふ春の水 幸夫 珈琲と「子犬のワルツ」春隣 観月 散る山ざくらもう咲かなくていいから 林達男 俯いた綿帽子行く風花に まめ 疫病も戦も消えよ山を焼く つよし ナメクジに…

第 29回いちご俳句会・例会 (作品集)

第29回いちご俳句会・例会 (作品集) 髪結の亭主手酌の寒造 まめ 古稀に買う十年日記千瓦(グラム) 観月 羊水の中にいるよな日向ぼこ 観月 ガラン洞の地球の風を冬鷗 林達男 君は貂(てん)の僕アザラシの冬帽子 幸夫 首伸ばし亀にも春を待つ心 つよし 形代は…

いちご俳句会特別句会 『福笑い大句会』作品集

いちご俳句会特別句会 『福笑い大句会』作品集 〈ゲスト〉(五十音順) 石川浩司さん 1961年東京生まれ。バンド「たま」で1990年に「さよなら人類」でデビュー。レコード大賞新人賞受賞、紅白にも出場。現在はソロでギター弾き語りの他、ガラクタパーカッショ…

映画、演劇鑑賞

< 映画、演劇 鑑賞 > ・映画『田舎司祭の日記』 その村はいつも道がぬかるみ、新しく来た若い司祭は自転車で教区の家々を回る。彼の体は病んでおり坂道は自転車を押して歩く。 少女達が放る執心の礫が彼の周りに砕けるのを、そのきれいな目に映す。黒衣は聖…

第 28回いちご俳句会・例会 (作品集)

第28回いちご俳句会・例会 (作品集) ひっそりと下駄の底より冬きたる 観月 星空へメタセコイアと言ふ聖樹 つよし 地球儀と人体模型冬休み 観月 山眠る介護体操座位のまま 幸夫 詰所からヤクルトレディや冬の朝 まめ 山眠る青銅の空洞は濡れ 林達男 雪は天…