第43回いちご俳句会 (作品集)

 

平仮名の「ぬ」字が書けぬ朧かな

観月

 

シャンソンの聞こえさうなる桜草     

つよし

 

麗らかに個人情報刺繍せり

亀歩

 

後悔はしない主義です猫の恋

観月

 

フラスコを離さぬ日々や水温む 

幸夫

 

亀鳴くや愛の女神のとけそうな

林達男

 

赤い牡丹悠々然と帯解きぬ

林達男

 

四月馬鹿をとこは和泉の胴間声

まめ

 

初桜此木の下に傘寿舞ふ

洋子

 

初桜嬰児の手の柔らかし

洋子

 

蛇穴を出づ少子化の勢ふ中

幸夫

 

ジンチョウゲくちをひらいて餌ねだる

白石ポピー

 

ハマグリを眼窩に縫った頭蓋骨

白石ポピー

 

春ショール相合坂にたれを待つ       

つよし

 

春ごたつ再配達は来ぬままに

亀歩

 

満員のバスを見送る白木蓮

まめ